ピッチャーとバッターの進化

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ピッチャーとバッターの進化

大昔、野球が誕生した頃、ピッチャーが投げるボールと言えばストレートしかありませんでした。
なので、配球といえば「次は外角へ・・・次は内角の高目へ・・・」ぐらいのものです。

ところが、これでは当然バッターの方は簡単に打てるようになります。
なぜなら、内角高め・内角真ん中・内角低め・・・・外角低めと、全9コースのバッティングが出来さえすれば良いわけです。
この全9コースは練習で打ち方さえ覚えてしまえば、簡単に打てるようになるからです。
参考⇒~ミート力の上げ方~

また、タイミングについても、はじめの何球かは合わせる必要がありますが、一度タイミングを掴めば、後は同じタイミングで打てば良いだけです。
バッティングセンターと同じですね。

で、これではダメだなって事で、ピッチャーが考えます。
そこで、生まれたのが”緩急”です。

おそらく初めはカーブやスライダー は無かったと思います。
あったのは、タイミングを狂わせるチェンジアップぐらいのものじゃないでしょうか。
ストレートで130km/h、次にチェンジアップで100km/hとやると、緩急差は30km/hでバッターのタイミングも狂ってきます。

これでヨシヨシと思っていたピッチャーですが、しかし、今度はバッターが試行錯誤をして、ピッチャーのクセを見抜いたりキャッチャーの配球パターンを研究したりして、緩急に対応するようになります。
この時点では、ストレートかチェンジアップのどちらかなので、自分が待つ球種の確率は50%です。
その50%の確率が、今言ったようなクセや配球パターンを読むことで、70%、80%と上がってきます。

これじゃダメだって事で、今度はピッチャーが考える番です。
そこで、誕生したのがカーブです。(たぶん・・・)
このカーブの曲がりを、初めて見たバッターは魔法だって思ったんじゃないでしょうか。

とにかく、バッターの方は今までストレートかチェンジアップの緩急しかなかったのが、今度は変化に対応しないといけなくなった訳です。

そこで、バッターは今まで研究したクセや配球パターンに加えて、変化に対応できるようなスイングを考え始めます。
そこで生まれたのが軸を中心に振ると言う考え方です。

これは私の考察ですが、変化に対応するという環境が出来ない限り、軸っていう発想自体が生まれなかったと思うんですね。
なぜなら、今まではタイミングさえ合えば打てていたのが、変化に対応する必要が出てきた。
考え自体が”タイミング”ですから、”軸”のことまで考える必要がない訳です。

人間って必要に迫られない限り、そこまで考えませんから・・・。
原発だって、本当に危ないって分かってから、運転中止だの建設反対だの自然エネルギーに切り替えだの騒ぎ出します。
今回の原発問題(2011年)にしたって、既存の原発がある時点で”危ない”って認識はあっただろうに、原発推進の声が高くどんどん作ってきた訳ですから・・・。

まぁそれはともかく、バッターはどんな球種が来ても打てるようにスイングを改良する必要に迫られた訳です。
少し言葉を変えると、”ボールを惹きつけて球種を見分けて打つ”ことが要求されだしたのです。

”ボールを惹きつけて打つ”って事は、スイング自体を早くしないと振り遅れてしまいます。
そこで、無駄のないコンパクトなスイングが研究され、またコンパクトだけど力のあるスイングって事で”軸の重要性”なんかを考えるようになったんじゃないかと思うのです。

こうなると、次はピッチャーです。
もっと早いボールを投げるには?もっと違った変化球はないか?
そんな風にして、球種も今では10種類以上に増えた訳です。

こんな感じで、常にピッチャー対バッターの生存競争が行われてるわけです。

ピッチャーあるいはバッターの進化の歴史の中で、フォームが追求・改良されて、現在に伝わるものがハウツー本やDVDなんかで紹介される様になったのです。
おすすめDVDの紹介

早いボールを投げるには腕や肘をどう使って、体重はどうやって移動させるのか?
遠くまで打つには、脇を閉めて手首をどんな風に返せば良いのか?
などなど・・・
今まで野球に携わった方々の研究の結果がハウツー物なのです。
言い換えればハウツー物は”研究報告書”ってことですね。

だから、一から肘はどんな風に使って体重移動はどうやるんだ?って考えるよりも、まずこういったもので勉強してから練習するほうが上達が格段に早い訳です。
ただ、重要なポイントとして、肘はこうで、体重移動はこうでって覚えるだけではダメなんです。
「なるほど、確かに肘をこうすれば力が入るな。」
「体重移動も書いてあるようにすれば良いボールが投げられるな」
ってことを意識する事が大事です。

丸暗記ではなく、感覚として取り組むことです。

そうしないと、なぜこのような肘の使い方になるのかって言う根本的な部分が認識出来ません。
そこが認識出来ないと、調子を落とした時などに自分なりに悪い点を見つけて修正する事が出来なくなってしまいます。
いつも答えを待つようになってしまうのです。

そんな事では、ピッチャー対バッターの生存競争に生き残っていけません。

19世紀にアメリカで誕生したベースボールですが、ピッチャー対バッターの生存競争は21世紀になった現在でも続いています。
今では常識とされているフォームでも、将来には対応出来ないものになっているかもしれません。
現に30年前には常識とされていた事が現在では通用しなくなっています。
ダウンスイングは本当に良いのか?

ピッチャー対バッターの生存競争に生き残る為にも、理屈を理解して、自分の感覚として取り込むことが求められるのです。

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